Heal,cool and zeal

2009.7.17

つくば市、牛久市の美容室 zealsalon

美容室へ向けてのHPの営業はとても難しい。流行っているお店さんならなおさらです。いつも人が一杯で、とても正面エントランスから入っていって「こんにちは、インターネットについてご興味は・・・」なんて切り出せない雰囲気があります。相手は接客中なのですから。

zeal01 最初にお邪魔したとき、ジールサロンさんは、まさに営業にとって難攻不落な雰囲気がありました。今回もきっかけを作ってくれたのは、いつも弊社のパイロットケースになっていただいているdoppeL店長です。

「今のHPも何度もリニューアルした結果なのだけど、
まだまだ満足してないのだって。一度営業に行ってみたら。」

と水を向けてもらったのです。



入れ替わり立ち替わりお客さんが訪れる合間を縫って、店長宮本さんとお話しをしました。鋭い眼光です。多くは語りませんが、奥底に揺るぎない自信を感じました。

「上質な雰囲気を醸す、どこにもないHPを」

というご注文。弊社のような規模のHP制作会社にとってはかなり思い切った金額の見積もりを出しました。今もてる人材のベストを選んだ結果です。

「その金額に自信があるんだね。」

たじろぐことなく「あります」とお応えして、今回のプロジェクトが始まりました。

まずは、ロゴを三つ作成して提出しました。
すんなりと一案を採用していただき、そのクオリティに安心してもらい、その後のHPリニューアル作業も弊社にお任せ、イメージカラーも自由に、という提案を受け入れていただきました。

今思えばこの時点で、こころのどこかでデザインに頼りすぎて、詳細な説明を省こうとする惰性があったのかも知れません。

それは、一ヶ月後本番のリニューアル第一稿をプレゼンしたときに起こりました。自信満々で臨んだ打ち合わせでしたが、全ての説明を終え、ぐっと水を飲んだ後、静かに店長のコメントが始まりました。

ところで、今回リニューアルをかけたHPには音がついています。オリジナルサウンドです。ピアノ一本で、癒しの音楽を表現してもらいました。

担当は山下美香さん。作曲家兼ピアニストの方です。今でも多忙な活動を縫って、弊社へのオリジナル音源を提供していただいてます。

ヒール・クール・ジール、が今回提案したコンセプトでした。

ヒール・クール・ジール。語呂があってます。英語でも、heal-cool-zealとなり、ライムを踏んでいるところが気に入りました。

まずヒールについてのご説明です。
zealsalonのHPを開いたとき、まず耳からピアノの上質な音が聞こえてきます。
人間にはまぶたがありますのでとっさのとき目をふさぐことは出来ます。音が鳴った場合はどうでしょうか。自動的に避ける手だてがありませんよね。わざわざ自分の手で耳をふさぐしかないです。

リニューアルされたHPの全体的な世界観はヒーリングをテーマとしました。一般の方々がメニューを見ているときも、ブログを閲覧しているときも、そして、このサロンに行ってみたいなと思って地図を参照しているときも背後で鳴り続けています。このようなヒーリングサウンドをオリジナルで一から作る。これは並大抵の技ではできません。

美香さんにはこれまでにも無理な注文を引き受けていただきましたが、今回の注文の仕方はこうでした。

「究極のヒーリングサウンド、日々の生活に追われる現代女性が一度でもHPを開いてくれたとして、その音を聴いたら思わずリラックスして癒される雰囲気を醸すこと」。

「音楽については、全く問題ない。CDも何度も車の中で聴いているし、クオリティについては安心してる。」

ここで、ちょっと緊張感が走ります。「音楽について」問題なし、ということはデザインについてはもしかして意に添わない部分があるのではないか。パソコンのマウスを移動させながら、全体を眺め、様々な機能を試してもらう。地図、メニュー、そしてブログへのアイコン。

氷の入った水がパソコンの脇にどけてある。ぴしという氷の割れる音がした。

店長のコメントをまとめるとこういうことでした。常に美容業界とのアナロジーで言葉が紡がれていく。

「クオリティの高さは充分に伝わってくる。しかし、これはヘアカットでいうと普段遣いのそれではなく、コンテスト用に技術の全てを前面に出したような結果になっている。」

ヒーリングサウンドで、まず見るもののこころを鷲掴みにする。
クールデザインで高級感を演出する。
ジール。これは熱意とか熱情とかいった意味になります。ジールサロンのメンバー全員がブログにアクセスすることで、サロンのヘア・スタイリングに対する熱意を語ってもらいたい。

そのクールデザインに対してのとらえ方にギャップがあったのでした。これはどんなアナロジーで語れば読者の方々に伝わるのでしょう。

「もしかしたら、すごく失礼なことを言っているのかも知れない。モナリザがもうちょっと笑っていた方が愛くるしい、とかモネの絵が霞んで見づらい、とか注文をつけているようなものなのかも知れない。」

しかし、これは商用ベースのHPなのであり、どうしてもこれを一般の人が見に来るわけです。お客さんの髪を切りつつ、

「今度の新しくしたHP、どうでしょうか」と投げかけたとき、凝っているけど、ちょっと見づらいわね、という答えが予測できてしまう。

「自分の個人的なサイトならこれで全く問題ないが、お店の看板となると違うかな」
というもっともなご意見でした。

さて、このフィードバックを元に、デザイナーと再調整をかける必要があります。しかし、かといって、どのようにしたらすっきりするのか、というサンプルが提示できる訳ではない。色味一つを変更するにしても、全体のバランスを常に考えて再構築する、魂のデザイナーとのその後のやりとりをここでは表現できません。常にそこには結果があるだけです。

最大の危機が訪れたのは、色味の変更をしているときでした。

第一回目のサイトをWEBにアップしてから、宮本店長側からでもサイトの制作過程が閲覧できます。通常制作過程については、完成するまで公開しないものなのですが、今回は修正がかかっている、ということで途中経過が覧られるようになってました。

その途中の色味の変化の時点で、「このままの方向性で本当に大丈夫か、話しは伝わっているのか」というコメントが入りました。いままでの経験から、色味については完成形になってみないとなんとも言えません。

途中の色彩は完成へ至るまでの試行錯誤の軌跡なのです。喩えて言えば、なんども失敗するダブルプレーの練習なのです。ショートゴロからボールをさばいて、セカンドの何処へ投げたら一番スムースなのか・・・。

それとなーく、デザイナーに問い合わせてみるとやはり「完成ベースで考えて欲しい」との返答です。そうです。信じるしかありません。そして実際「信じてます。」というメールを打って、事態を静観することにしたのでした。

二週間が経過し、デザイナーから仕上がってきたサイトはまさしく店長から途中でダメだしされた色味がベースになってました。あくまで「ベース」です。全体の仕上がりはまた、別のサイトに生まれ変わったような遠近感を獲得しています。赤と黒の使い方が上品です。

どうなんだろう。これは受け入れられるのだろうか。「だからダメって言ったじゃないか。」という返答、
「やはり完成したものを覧ると、全然違うね」という返答、
両方の可能性があります。フィフティーフィフティです。

手に汗を握る瞬間。店長とアポが取れ、完成した翌日早速プレゼンにいくことにしました。

zealsalon様のドアを明け、いつものように待合室のソファーに向かいます。パソコンをセットして、書類を整え、店長を待ちます。

そうこうするうち、以前市原市の居酒屋 いぶしぎん店長の加藤さんのアドバイスを思い出しました。

「お客さんが実際の所、何を考えているのかは分からないものです。声に出してクレームしてくれたらありがたいけど、ほとんどのお客様は感想を言わず仕舞です。だから、食べ物を配膳したとき、一口食べたときの表情をよくチェックしますよ。食べて「うむ、うまい」なのか「あれ、大したことないな」なのか。その表情、ジェスチャーで読み取るしかないです。」

宮本店長とは、お客さんとの対応の合間を縫って打ち合わせをします。一人スタイリングを終え、斜め向かいのソファーに腰を下ろした店長の表情。正直全く読めません。寡黙に状況を判断し、いうべきことをはっきり言う。自信に裏打ちされたいつものやや厳しめな二つの目があるだけです。

「完成しました。一つの結論に達しているとは思います(声震えてましたか・・・)」
「今アップされているヤツね・・(すでにチェックしている ! ! )」

二人でお店に設置してあるパソコンをにらみます。今回の変更点の説明をるる述べます。もう一度待合室に戻って、自分のパソコンを開きました。

「全体を眺めるとやはりいいですね」

この一言。このコメントを聴いて、ようやく肩をなでおろしたのでした。

「いろいろあったけど、やっぱり言いたいこと言い合って、よかったんじゃないのか」基本的に表情を変えない店長が、ちょっと微笑んだ気がしました。

別のスタイリストが店長を呼びに来る。指示を出して、スタンバイの体制になる。なにしろ、忙しいお店なのだ。

「じゃ、いいかな」と立ち上がりざま、右手を差し出してくれました。
「これでいきましょう。お疲れ様でした」

思わずおもいっきり握りこんで、握手しました。手のひらはもちろん汗びっしょり。きっと気持ち悪かったことでしょう。全体について合意が一端得られるとその後の動きはスムースでした。欲望(仕事のニーズ)はどこかに、無条件で発生しているのではなく、双方の働きかけにより、提案し検討することで発生してきます。

まずは信頼関係の構築から。

ZEALSALONのみなさま、仕事上係わった関係者のみなさま、本当にありがとうございました。

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日付:2009/07/17 14:04

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